連載:悪徳商法と私(第一回)

生まれて初めて悪徳商法にひっかかりました。
ひっかかった自分が悪いですが、皆さんもひっかからないように、そのようすを連載しようと思います。
ぜひご参考下さい。

(第一回・善い人に見える人ほど疑え)
平成17年12月26日、NTT販売店を名乗るA社営業部の若い男女が来社。
二人とも二十歳そこそこで身なりもフレッシュな新社会人風である。
彼等の説明は以下の通りであった。
1.弊社インターネット回線をADSLから光へ無料で変更する。
2.1の結果電話、FAX及びインターネット回線が一本化される故に基本料金が一本分となる。
専用の電話機をA社で用意するが、その代金(これが当然リースに当たるのだが、リースの説明は無い)と
併せても月々の電話・FAX・インターネットに関わる出費は現行とさほど変わりない。女は弊社宛NTTからの
11月分請求書を見ながら説明し、基本料金の箇所へX印を付ける。
3.電話回線は現在一本だが、工事の結果例えば親機で話中の状態に別件の電話がかかってきた場合でも、
子機にてそれを受けることが可能となる。
4.A社が弊社の社内LANを無料で組む。(といっても別にパソコン2台しかないですが)
以上1〜4の説明があった為、彼等の差し出した契約書にサインし、年明けにリースの電話機を設置した。
しかし現実は以下の通り。
項目1に関して、平成18年1月30日NTTの作業服を着た男性2人が来社し、光回線の調査を行ったが
配管がコンクリートに埋まっている為光回線を入れることは不可能との説明を受ける。ついでにいうと、
この男性2人には電話工事従業者に本来あるべき身分証明若しくは免許の提示が無かった。
項目2に関して、NTTより送付された1月及び2月分の電話、FAX及びインターネット回線基本料は契約以前
と変わりない。それどころか1月分には謎の工事料金4,000円がFAXの請求書に含まれている。
これについて先のA社営業部女へ平成18年2月21日電話にて問い合わせるが、確認すると言ったまま
今日まで過ぎることとなる。
項目3及び4に関して、契約以降今日まで行われていない。それについても平成18年2月21日電話にて
問い合わせると、それでは3月2日に工事しましょう、と言う。
いよいよおかしいとバカな私がやっと気付いたのは、リース会社(B社とする)より月々9,135円/84ヶ月
のリース明細書が届いた日だ。2月27日より引落し開始とあり、初回は2ヶ月分の18,270円となっている。
平成18年2月23日こちらについても問い合わせる。
「NTTからの請求書はまだ何も安くなっていないのに、リース代だけは1月2月分とられるんですか」
この時点でも、「まだ何かちょっとおかしい」くらいにしか感じていなかった自分の愚かさを深く恥じる。
女は、料金については先の男へ確認しないと分からないので、また2月27日に連絡すると言う。
バカな私はNTT及びNTTコミュニケーションズからの請求書を引っ張り出し、各月の合計金額を出した。
そこでやっと、リース代9,135円だけがまるまる、しかも84ヶ月も浮いていることに気付いたのである。
「電話機リース A社」とグーグルで検索する。すると2ちゃんをはじめ、これまで私達と同じような被害に
あった人々の闘いの記録が現れた。「電話代が安くなる」「光を入れる」といって、実際書かされる契約書は
リース契約書のみ。私は即座に契約書を取り出した。たしかに、リースの契約書以外他に契約書は無い。
これで話が違う、と言ったところで「そんなこと言った覚えはありません」「そう仰られてもリースは解約
できませんので」と一蹴される例がほとんどだという。
問題点は、個人ならクーリングオフが可能な場合があるが、法人の場合は解約出来ないという点である。
彼等は最初からそれを狙って、うちのような零細企業へやってくるのだ。若しくは個人宅へ出向き、特に
ご老人に対しまたNTT関連会社を名乗り「その電話機は使えなくなる」などと唆してサインさせるようだ。
平成18年2月24日、消費者センターから中小企業振興公社を紹介してもらい、弁護士に相談する。
「要するに騙されたんですよ」と言われる。そしてうちとA社が契約した後、リース会社であるB社からA社へ
リース代金が渡る。よってリース会社はこんな契約の内容如何に関わらず、うちからリース代を月々とりたてる
他ない、という仕組みになっている。要は銀行から融資を受ける仕組みと同じである。
私は悔しいというよりまず、「だってあの人たち、ほんとにいい人たちだったんですよ」という言葉が先に
発った。特にあの女は、何度も来社して如何にも働いている様子を見せ、それ以前に私が契約してしまって
いた日本テレコムの契約も、「NTTじゃない所から何か来ても、今後断った方がいいですよ」などと言って、
その場で私の名を騙ってテレコムの契約を解除したのだ。何て親切な人なんだろう、と思った。
どこから見ても善人でしたよ、全く。世の中悪い人は沢山いると思うけど、こんな騙され方をされたのは
初めてです。お前あれ全部フリだったのか、と思うと怒りというより残念です。殴る気も起きない。
平成18年2月24日深夜、管轄の警察署へ出向く。警察は何の効力も発揮しないというのは知ってはいたが、
とりあえず気が収まらないため帰り道に寄る。刑事課のK氏に経緯を話すと、署にもこのような相談にのって
くれる生活安全課という部門があると言う。だがこうした問題はやはり民事なので介入はできない。
平成18年2月25日夜、NTTへも電話にて経緯を伝える。そこで更に、弊社の電話・FAX回線をISDNに、
ADSL共用型だったものをADSL専用に変更申請が何者かによって成されていると知る。
私達はそんな申請した覚えは無いので、即キャンセルする。
深夜、様々なケースをインターネット上で調べつつ、A社及びB社に対し内容証明郵便を作成。
朝方郵便局にて提出。
平成18年2月26日、社長はこの件のおかげで前日より一睡もせず昼頃まで仕事をしていた為、帰宅後
すぐに眠ってしまった。私はその間に、A社が本当に名刺に記載の場所にあるものかと確認に出向いた。
日曜だから営業してはいないだろうが、万が一こちらが乗り込むことになった際、建物内についていくらか
把握しておかねばならない。
それは立派な高層ビルの上階の一室であった。人々から騙しまきあげた金でこんな立派な所、
私はこいつら絶対許さないと思った。貧乏人をなめやがって、、怒り心頭。久々にマジぶち切れた。
そのビルを出ると、時期的におそらく就職の決まったばかりであろうスーツ姿の若者の集団が目に止まる。
私には最早、爽やかな将来有望的な彼等全員が怪しく見える。ほんとにそういう感じの奴らだったんです。
そして本日平成18年2月27日。B社より引落し開始予定の日である。朝9時に銀行へ連絡して、B社から
私達がやっとの思いで稼いでいる神聖な金を引き落とさせない様手配する。事情を話せばこういうことも
可能なようだ。同時にB社へも、今回の契約はA社の虚偽の説明と不実の告知によるものであり、契約を断固
取り消す意思である旨連絡。
昼頃、内容証明を読んでいないご様子の営業・男より電話が入り、こちらが契約を取り消すという話をすると
上司と共にやって来た。
(第一回/完)