連載:悪徳商法と私(第二回)

普通に忙しくて第二回を書けませんでした。たぶん解決編です。どうぞこれを参考にして下さい。

(第二回・たぶん解決した)
上司と来ると言っていたから極道の人が来るかもと思い、私は事前に商店会長の所へこの街の顔は誰か
聞きに行ったり、或は闘いに備えたり、神棚に祈ったり、おばあちゃんの形見を持ち歩いたりした。
しかし実際やって来た上司は太っているが強そうでもなく、これなら万が一の時もやれるとほっとした。
私はA社の二人を奥へ通すと、「外出中」の貼紙をし店を閉めた。
そして社長が、この契約を解約するという意思に至るまでの経緯について淡々と説明した。
私は口出しするなと言われていたので、黙ってMDの録音ボタンを押した。
あとで損害賠償とれる可能性があるとすれば、それには証拠が必要なのだ。
A社の連中は相づちをうちながら大人しく耳を傾けていた。
ひととおり社長が話し終える。
すると、何と上司の奴が頭を下げ「今回お客様にご迷惑をおかけしたということで、責任を持って
解約させていただきます」とあっさり言ったのだ。
私は録音状態を確認しながら、「本当に解約ですね、解約ですね」と何回も言った。
それでは一筆お願いします、と解約の旨書いていただき、拇印も頂戴する。
A社・上司は、「解約はさせていただきます。ただこのようなトラブルが起きてしまい、これが弊社の全てと
受け止められても困りますので、だからこそこうして謝りに来ているのです」と言った。
営業の男もバツの悪そうな顔をして終始俯いたままだし、上司があまりにもあっさり解約を認めたので、
これがまた私のバカなところであるが、「こんなに謝ったりして、本当はこの人たちそんなに悪い人たちじゃ
ないのでは・・」などと考えてしまった。
しかし聞いてみると彼にとっての解約する理由は、今回光回線を入れると約束したが、調べてみたら入れられ
なかったので、解約するというもの。
それは私達がこんなにも憤慨して解約すると言っている理由からすると的外れだ。
私達が結ばされたのは結局のところ電話機リースのみの契約である。最初から電話機リースのセールスとして
やって来たなら、うちには必要ない物であるからすぐに断ったはず。それをNTTの名を出して電話の使用料が
安くなるだの光が入るだの、肝心のリースの見積書は勿論説明すら無い。
上司はそれに対して、説明不足で申し訳ございませんとは言うものの、最後までこの点はすれ違いのまま
であった。しかし私は最後までバカで、「光が入らなかったから解約」という相手の言葉やずっと低姿勢で
謝り続ける姿を真に受けた為に、でも騙されたんだという事実と、かなりコンフュージョンしていた。
その若い営業の奴は歳を聞いたら22だというので、6コ下の奴に騙されたんだと思うと、その事が一番
悔しくて情けなくなり、同時にこんな若いうちから人を騙して、お前はそれでいいのかという話にまでなった。
私は普段人様に説教をしたり、人様の人生にまで口出しはしない主義ですが、今回あまりにも、何だお前の
その生き様はと思ったわけです。
また、こんな話をしている最中にも何と別な電話会社から売り込みのご様子の電話が。もう、そうやって
皆わたしを騙そうとするんだと思って、いつもは色んな売り込みの電話もちゃんと話を聞いてあげてたのに、
「てめえも騙すんだろ!!」と切ってしまった。本当は良い人かもしれないのに、、
更に何と「NTTの工事の者です」と普通に入って来た人が居て、「お前は本物か、偽物か!!」と詰め寄った。
その人はただ近所で工事する知らせを持って来ただけなのに、、
「お前らのせいでいい人全員怪しく見えんだよ!!」とA社の奴らに言い放った自分が今では何かむなしい。
むなしいです。信じた自分が悪いのに、人のせいにしている。
そしてそれ以後、誰かから単純な親切な申し出でもあると、無意識に疑ってしまうことがあります。
そして何でもない人を疑ってしまったと自分で気付いて、強烈な嫌悪、そして孤独を感じます。
うますぎる話には裏があることくらいはわかっていたけれど、別にすぎるほどの話でなかったのに騙されたから
普通のことが色々疑わしく思える。これは早く直したいです。なるべく人を疑いたくない。
そして今落ち込んでいるのは、とうとう自分が本当のバカであると自覚した点です。
人からみて私はバカに見えると思うのですが、自分ではバカなところはあるが本物のバカとは思っていなくて、
でもこの一件で客観的にみて一番のバカは自分であるという結論に達した。
でも倍達も猪木も桑田も騙されたことがある。だから頑張ります。
そしてこの件で相談に乗って下さった皆様に、本物の感謝を申し上げます。
本当にどうもありがとうございました。そして皆さん気をつけて下さい。
(第二回/完)