ドキュメント・日常の闘争



この季節、我々の平和な生活を乱す憎き者・・
下等生物ゴ、
との戦いを書きます。読まない方が良い方は読まないで下さい。
もし参考にしたい方がおれば・・



我々の住むこの建物は70年代の建造物ゆえ、現れない方がおかしいといえば
その通りかもしれません。しかし、今までめったにその姿を見ることはありませんでした。
ある第一日。お風呂に入ろうと扉を開けると、壁に黒色の点がひっそりとへばりついている。
そんな所でおちおち入浴などできるはずもない。
一度扉を静かに閉め、念のため夫に助けを求めてみるが、
「見つけた者が責任を持って始末なさい。尚、それを部屋に入れたらどうなるかわかってるね?」


まずは、お互い血を見るのは避けたいはずと思い、開いている窓を指して
「ほら、今のうちに出て行きなよ」など話しかけてみるが、相手は一向に動かない。
そうしている間に時は刻々と過ぎ行く・・話し合いは無理のようだ。
武器を手に入れようと思ったが、夜中だったのでコンビニしか開いておらず、
しかもキンチョールしかない。しかし殺られる前に殺るしかないのだ。
震える手で、これを一気に吹きかけると、なんと敵はこちらへ向かって来た!
そこからは、もう何がどうだったのかわかりません。
叫びながらもこのキンチョールを発し続け、、ようやくにしとめることができた。
ここで勉強になったことは、キンチョールをたくさん発すると、お風呂のガスが爆発するということです。
これを知らずに狂ったようにまき散らしていたので、夫が止めに来ました。


第2日目。あれからしばらくたってのことだった。
シンク下の扉を開けた瞬間。何やら茶色いものがササ・・
最初、こないだのをSATSUGAIしてしまった為に、その子どもが母を捜しに出て来たのかと思い
危うく同情してしまうところでしたが、これは、種類が違うということでした。
なにしろ東京は、道ばたでも奴らを見かけるマッド・シティ。多様な種類があって不思議は無い。
けれどもわたしはもう、落ち着いていられなくなりました。
すべての扉が、恐ろしくなりました。すべて、そうっと開けて様子を見なければなりません。
米を炊かなければならないのに、米びつを開ける勇気がない。
結果、翌朝のご飯がなくて怒られる。
毎晩、家に帰るのが本当に苦痛でなりませんでした。
夕ご飯を作ろうとするが、シンク下の扉をノックしてから開け・・
何か陰が!と思ったら、わなわなと震える自分の指の陰でした。
何か物音が!それはご飯の炊け始めの音・・
夜の帰り道、路地からふと出て来た人影にも悲鳴をあげてしまう始末・・


しかし、先日復活をした山本KIDをテレビで見ました。
KIDは前に腕を折ったのに、この日HERO'Sで見事柔術世界王者に勝利しました。
わたしはこの時に、自分も立ち向かわなければ、と思いました。


まず調べると、レモンの匂いは嫌いらしい。
クレンザーのレモンの香り、芳香剤のレモンの香り、レモンの香りのクエン酸を用意し、
そしてレモン・ウォーターを飲みほしました。
以前に毒の入った置き薬をあちこちに仕掛けたので、効いているのかどうか
わからないが効いていると信じて、思い切ってシンクの下を掃除しました。


それから、シンクの扉をノックせずに開けることができるようになりました。
でもまだ油断はなりません。
いつどこでバルサンが焚かれ、そこから逃れて来た者どもが侵入してくるか・・